弊社薬剤師は、学校などにおける水質検査を通じて地域の方々の保健・安全と公衆衛生に関わらせていただく職種です。
そんな中から感じた、水にまつわるお話を今日はご紹介します。
日本では水道水が安心して飲める
日本の水道水のレベルは非常に高く、蛇口をひねれば上水道から消毒されてきれいな水がふんだんに得られます。
山々をめぐり河川を通じて得られる自然の恵みでもあります。
これを浄水場で取水し、凝集剤を入れて浮遊物を沈殿させてから、ろ過し、次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒することによって、安心して飲める水道水ができあがります。
カルキ臭を抜くために、浄水器や煮沸などをすることもありますよね。
これらのカルキ抜きの処理をした水は、殺菌力が落ちていますので、長く置いておくと細菌が増えて傷んでしまいます。
カルキ抜き処理をしたあとは、すみやかに飲むようにしてください。
なんすい、こうすい・・・聞いたことありますか?
日本の天然水は主に軟水です。
軟水とは、カルシウムとマグネシウムの含有量が少ない水のことで、反対にこれらが多い水を硬水と呼びます。
奈良・兵庫は近畿の中では比較的高めの50程度、大阪滋賀京都は40から45と近畿圏は比較的軟水の傾向です。
昆布だしの文化は軟水文化とも言われていますね。
一方、沖縄九州や関東地方の各県は、国内でも硬度の高い水を水道水として使っています。その硬度は沖縄で90程度です。
海外、例えばヨーロッパでは硬度は200~400くらいです。
エビアンなどヨーロッパのミネラルウォーターは硬度が300程度あります。
また、便秘がちの方が好んでのまれるコントレックスは硬度が約1468あります。
赤ちゃんに飲ませるには、軟水がおすすめです。
硬水にはカルシウムやマグネシウム以外にもミネラルを多く含む水があり、血液成分の調節が未熟な乳幼児には負担になります。
一般に粉ミルクは水道水を一度煮沸して冷ました水を使うのが最適とされています。
日本では一般的にお薬をのまれるときにも、水道水レベルの硬度のお水をおすすめしています。
ミネラルウォーターって、なんだろう?
農林水産省が定めたミネラルウォーターの表示基準によりますと、
- ナチュラルウォーター:特定の水源から採取された地下水で、沈殿、ろ過、加熱殺菌外の処理を行っていない水
- ナチュラルミネラルウォーター:ナチュラルウォーターのうち無機塩類が溶けた水
- ミネラルウォーター:ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、ミネラルの調整等や複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターが混合されている水
- 飲用水又はボトルドウォーター:これら以外の水
で、特にナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーターには採水地の場所が明記されています。
また、食品衛生法上、以下のことが定められています。
- ミネラルウォーター類製造基準では殺菌又は除菌を要するもの(85度で30分間加熱等)と基準に適合すれば要さないものとがある
- 殺菌又は除菌を行わないものについては、「殺菌又は除菌を行っていない旨」表示
- 成分規格と原水の基準等製造基準
ボトル詰めされた水は、基本的に塩素などの殺菌成分を含みません。一旦封を開けてしまうと、特にボトルに口をつけて飲むと一気に細菌が増えてしまいます。
水を買う習慣・・・時と場合によって
近年は水を買う習慣が日本にも根付き始めました。1980年代ごろまでは、業務用や非常時など特別な目的・用途がある場合を除いて、一般家庭でペットボトルに入った水をわざわざお金出して買う習慣のある人は少なかったと思います。
日常的に買った水を使用する習慣も、この20年ほどで急に伸びています。
特にこの10年で伸びた原因は、東日本大震災など災害時に飲み水を確保することが皆さんの大きな関心事になったことが挙げられるでしょう。
参考:食品産業新聞社2021年3月31日:「ミネラルウォーターの生産量が過去最高に」https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2021/03/2021-0331-1729-16.html
飲料水とSDGs
ところで、下に引用した動画をご覧になったことはありますか。
高校生が授業で見て「こんなこととは知らなかった、びっくりした」と感想をくださいます。
ナレーションは英語ですが、字幕が出ますし簡単な内容のアニメーションですので、一度ご覧ください。