新型コロナウイルスの治療薬として、モルヌピラビルという飲み薬が2021年末に特例承認されました。
モルヌピラビル
商品名:ラゲブリオカプセル200mg
用法用量:通常18歳以上の方に、1回800mgを1日2回、5日間服用する
禁忌(服用してはいけない人):この薬剤の成分に対して過敏症のある人、妊婦または妊娠している可能性のある女性
このお薬は、自宅療養の方などが発症してすぐに服用しウイルスの増殖を抑えるお薬ですが、使える人や症状が限定されています。
どのような人が、どのような状態のときに使えるのでしょうか。
このお薬はどのような方に処方されるのでしょう
症状がある方
モルヌピラビルは、症状が現れている方に処方されます。
薬の使い方にも、「無症状の患者は臨床試験に組み入れられておらず、有効性及び安全性が確認されていないため、対象としていない」とされています。
重症化リスクが高い方
モルヌピラビルは、次にあげる重症化リスク因子をひとつでも持つ方でなければ処方されません。
- 61歳以上
- 活動性の癌(免疫抑制を伴わない、または高い死亡率を伴わない癌は除く)
- 慢性腎臓病
- 慢性閉塞性肺疾患
- BMIが30以上の肥満
- 心不全、冠動脈疾患または心筋症
- 糖尿病
- ダウン症
- 多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症などの脳神経疾患
- コントロール不良のHIV感染症およびAIDS
- 肝硬変など重度の肝臓疾患
- 臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後
軽症から中等症で、発症後5日以内
モルヌピラビルは、重症度の高い患者さんに対する有効性は確立していません。
これは、お薬の効果がわかっていないということです。
★詳しく解説!
重症度が高い、とはここでは中等症II以上、
肺炎があり、酸素吸入が必要な方やそれ以上の重症度の方々をさします。
また、発症してから速やかにのみ始めることで効果が高いことがわかっています。
発症して6日後以降に服用した方への有効性を裏付けるデータは得られていません。
有効性を裏付けるデータは得られていないとは、臨床試験で、お薬を投与してもしなくてもその後の経過があまり変わらなかったということです
このお薬の流通はどうなっているのでしょう
モルヌピラビルは、他のお薬とは違って、すべて厚生労働省が所有しています。
医療機関や薬局からの依頼に基づいて、厚生労働省から対象となる患者さんに無償で譲渡されるというしくみになっています。
ですので、他の医療用医薬品以上に非常に厳格に数量管理されていてすべてのルートが追跡できるようになっています。
患者の負担は?
モルヌピラビルは、新型コロナウイルス感染症に罹ったと診断された方(確定例)に使用されます。
ですので、薬剤やそのほか薬局にかかる費用について、患者さんが負担する必要はありません。
また、自宅療養や宿泊療養中の方に薬局からお薬を配送する際の負担も、患者さんにはかからない仕組みになっています。