子育てClass

アレルギーの子を育てている保護者の方へ~ある薬剤師の体験談~

薬局で仕事をしているスタッフも、実は皆さんと同じ悩みを抱えています。
今回は、アレルギーをもつこどもの成長にかかわって自身も貴重な体験をしたと話すある薬剤師に、その体験について話してもらいました。
同じ悩みをもつ保護者の方々の力になれたらと、こころよくうちあけ話を聞かせてくれました。

アレルギーのお薬についての説明を→こちらの記事でしています。併せてお読みください。

「アレルギーかもしれない…」

そう思ったのは、子が3ヶ月を過ぎたころ。
わたしが薬剤師の仕事をする前のことでした。

生後2ヶ月ごろから乳児湿疹が出て、代謝が良い時期なのでよく洗えばいい、と言われていましたが
よく洗っても、洗っても、湿疹が出てくる。
そのうち、じき、治ります、と言われても治らない。

しゃべれない赤ちゃんが、かゆそうに掻いているすがたはみていてもつらいものです。

いますぐできることは、何かないのか
肌着が・寝具が・洗濯に使うものが合わないなら変えてみようか
悩みはつきませんでした。

「塗り薬の使い方は手探りでした」

小児科では、湿疹のお薬を処方されました。
赤い湿疹を治す塗り薬はステロイドでした。
ステロイドは短い間塗って治し切れば危険ではないのは知っていました。でも、

短い間って何回?何日?何週間?
1回にどれくらい塗るの?
1日何回、いつ塗り直すの?

「いろいろやってみて」と優しく小児科医に言われました。
塗ってみるしかないのか。
そのころのわたしは無力感でいっぱいでした。

「夜中、せきが出ました」

保育園に入ると、夜中、せきが出ました。
小児科医には「喘息」と言われました。
いやがる子を押さえつけて吸入させるなんてできません。でも吸わなければ、咳が出て眠れない。
子を膝に座らせ、背中から抱き、吸入をしました。
やがて症状が落ち着いたのか、子は腕の中で座って眠りはじめました。

「薬局に・・・あった!」

子が小学校に通い始めたころ、わたしは薬剤師の仕事を始めました。

湿疹のお薬、短い間って何回?何日?何週間?
1回にどれくらい塗るの?
1日何回、いつ塗り直すの?

さらには、入浴時の石けんの使い方、
ステロイド軟膏を使い終わったあと、保湿剤を塗って肌バリアを保つ方法

子が赤ちゃんのころほしかった情報は、
なんと薬局にありました。

さらに、薬局で新しい視点を持つようになりました。それが
患者は、こども自身だよ」

「患者はこども自身」

小さいこどもは、薬を嫌がったりします。
まだ言葉が話せなければお薬をのむ意味を理解していないように見えるかもしれません。
保護者はつい、薬をのませようと必死になってしまいます。
叱ってしまったり、無理にのませたり、したこともあるでしょう。

ここで忘れたくないのは、患者はこども自身ということです。
症状で困っているのは、ほかでもない、こども自身です。
「いまのしんどい症状をなおすには、薬がだいじ」
ということをくりかえし伝えると、こどもにも理解ができるようになります。

アレルギーがあると、塗り薬や吸入など、毎日使わなければならないお薬 がたくさんあります。
このお薬は、この先何年も、体調を良くするためにずっと続けるたいせつなものです。
ですので、こどもが薬をいやがらず、こども自身にとって必要なものだと思うことが、とても重要なのです。

「”患者はこども自身”を実践してみた」

小学1年生になった子には、まだぜんそくの症状がありました。
1年生になってもらった吸入の薬はスプレー式で、自分では押せず、親の助けが必要でした。
子にとって薬は親から与えられるものでした。

春、はじめての体力テストで、子はシャトルラン(持久走)ができませんでした。

「シャトルラン、はしりたかった」という子。そこで、わたしは”患者はこども自身”をやってみることにしました。

「そっかあ、走るとしんどくなるもんなあ。」
「うん」
「この吸入のおくすり、毎日してたら、しんどくならへんようになれるねんて。しってた?」
「しらんかった」
「そっか、しらんかったな。吸入のおくすりしたら、いっぱい走っても、しんどくならへんねんで。」
「しんどくならへん?」
「せやねん、シャトルランもみんなと一緒にできるで。」
「・・・うん!」
「吸入、毎日やってみる?」

「・・・うん!!」

子の語彙がほぼ「うん」しかなくても、親にはわかる、この子のやる気スイッチ押せた感。

ここから、子の姿勢がかわりました。
毎日子は吸入を続けました。
まだ1年生ですので、声をかけないと忘れていることはありましたが、
思い出したらいつも、自分から親のところへ持ってきて、「シュー(スプレー)して」と言って、吸入していました

子にとって、薬は、親から与えられるのではなく、じぶんでするものになりました。

子がやる気になっていると、親も子を応援する気になります。
こうして薬は親が管理してさせるものから、子ががんばるのを応援するものになっていきました。

毎年悩まされた梅雨の時期、この年はまったくなにごともなく過ぎていきました。

そして、嬉しいことに、秋のマラソン大会は完走することができました。

薬をつかう、とこどもが意思表示したら、ほめてください

2,3歳くらいの頃から、お薬はじぶんの意思でのむ、と言えるようになります。
もちろん、のむと言えない日もあります。
ですから、お薬をのんだらほめます
じぶんで身体の調子を治せたことは、かならず自信につながります。

薬剤師からは、保護者の方だけでなく、直接こどもにお話しもします。
お薬がこどものどんな症状をなくしてくれるのか、
どんなつらさから守ってくれるのか、
ひとつひとつていねいに、こどもに伝えるためのお手伝いをします。

いまアレルギーに悩むあなたの話を聞かせてください

いま、アレルギーのこどもを育てて同じような悩みを抱えている方に、知っておいてほしいことがあります。
それは、アレルギーは時間をかけてつきあう疾患であること。
それから、あなたはひとりではなく、こどもが出会う医療と保育教育のプロが、絶えず見守っているということです。

お薬の使いかたは、薬剤師が知っています。

ステロイドの塗り薬を
どれくらいの量を、
どれくらいの広さに、
どれくらいの回数、
どれくらいの期間塗るのか、
ステロイドをやめたあとは、何を塗るのか

ゆっくりペースの離乳食の進め方、
食物アレルギーの薬の使い方、

吸入機の使い方、消毒の仕方、

ほしかったアドバイス、きっと薬局にあります。

アレルギーは体質や環境が複雑に影響する慢性疾患で、一度かかると長く付き合うものです。
時間がかかるぶん、こども本人のアレルギーへの理解もとても大切です。
こどもにどう伝えて、どうわかってもらうか、こどもの自立を一緒に応援したいと思っています。

アレルギーとの、上手なつきあい方の情報はたくさんあります。
身近な相談相手として、薬局でたくさん相談してください。

そして、あなたのこどもに合ったアレルギーとのつきあい方を見つけましょう。

こどものアレルギーについての情報:一般社団法人日本小児アレルギー学会

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