先日、とある知人からこの画面を見せてもらいました。
知人はこれを「イソジンは飲むとコロナに効くの?」と言いながら持ってきましたが、果たしてそうでしょうか。
イソジンは、のんではいけません!
私たちは薬剤師なので、イソジンをのんではいけないことはすぐわかります。
でも誰しも専門外のことになると、簡単に間違った情報を信じたり、正しく解釈できなかったりするのです。
世の中はネット社会。
ニュースも新聞も本も番組もスマホで見て、困ったことはスマホで検索が当たり前のこの時代。
ネットリテラシが叫ばれて久しいですが、みなさんネット情報はどう活用なさっていますか?
1. ネット情報を読み取ろう
実際、ネットの情報を正しく読み取るのは、本当に難しくなっています。
ここに紹介した一言ブログTwitterのツイートなどの場合は、表現できる文字数に制限がありますので、これだけで筆者の意図を正しく理解したり、情報の正誤を判断するのは危険です。
チェックポイントがあります。
- 誰が書いたか:日ごろこの人がどういう主張をしているのか、どういう人たちの意見に近い発言をしているのか
- どういう意図か:普段からどういう考え方をしていて、どういう文脈に乗って書いたか
- 一緒に添えられたリンクの意味:これに本人が同意しているのか・反対しているのか・同意や反対を示す以外の意図があって添えているのか
これらのポイントをチェックしながら、書かれた内容を的確に判断する必要があります。
そもそも、ブログやYouTubeの動画などでは、明らかな法律違反を流布するのは禁止されていますが、基本的には、発言者それぞれが発言した時の気分によって、好きに表現することができます。
従って、SNS時代のいま、ネット情報を正しく読むには総合的な判断力が求められています。
2. 筆者の意図を知るには、筆者の背景を知る
さて、知人が持ってきた先のツイートをした町山さんを例にとってみましょう。
この方は、どうやら日ごろから、反コロナウイルスワクチン派の人に対して批判的なコメントを多く出しているようです。
引用しているSalonというサイトは、アメリカのニュースサイトです。
他の記事は政治ゴシップ、芸能など多方面で人の関心を引く記事を掲載しているようです。
この2つの点から鑑みて、
- 町山さんは、日ごろ批判的に観察している反コロナウイルスワクチン派に関する記事を読み
- 彼らの行動を(あきれて)批判的に紹介している
という文脈が読み取れます。
実際、このtweetへはイソジンをのむことにあきれている反応が多く寄せられています。
3. 誤解はなぜ起きるのか
先にも述べました知人は、「イソジンは飲むとコロナに効くの?」と話しかけてきました。
知人には町山さんのツイートの文脈が十分読み取れなかったのか?
はたまた、ふと浮かんだ知人自身の独自の疑問なのか?
定かではありません。
知人がこのツイートをどう解釈したかはさておき、
世の中にはこの町山さんのツイートを読んで、以下のような誤解をしてしまう人がいます。
- 誤解その①「イソジンは飲んでもよい」
- 誤解その②「コロナを防ぐためにイソジンを使う」
こういう誤解をする人は、前後の文脈を無視してこの文だけを読み、さらに
- 誤解する根拠①「30万人以上のフォロワーを持つ有名人の発言である」
- 誤解する根拠②「記事のリンク先が添付してある」
といったところから、その誤解に確信を持ってしまいます。
また、上記のような誤解以外に、
- 誤解その③「町山さんはコロナ対策でイソジンをのんでもかまわないと言っている」
という誤解をする人もいます。
4. リンク先も長文も英文も読む
参考までにこのSalon.comの記事も読んでみましょうか。
町山さんがコメントした(訳した?)のはヘッドライン(見出し)の前半
「予防接種を受ける代わりに、アンチワクチン派はヨウ素系の消毒薬を飲んでいる」
あたりまでですが、よく読むと
「ベタダイン(つまりイソジン)の副作用は、胃痛から胃腸の焼けるような痛みまで多岐にわたる」
と続きます。
添付された記事自体は、消毒薬を服用することについて完全に批判的です。
でもこれ、英文記事なので、そこまで読むのは難しいですし時間がかかりますよね。
次に、町山さん自身の「アメリカの反ワクチン主義者たちがコロナを防ぐためにベタダインを飲み始めた。つまりイソジンである。」という言葉、
あなたがもし、ワクチンを打つことに心配や不安が大きく、同じ意見を持つ人を探してネット情報を検索していて、初めて町山さんのtweetに出会ったら、
- 誤解その③「町山さんはコロナ対策のためにイソジンをのんでもかまわないと言っている」
と、思ってしまいかねません。
これは、誰にでも起きる誤解です。ひとは不安なときには普段の判断力を発揮できないものなのです。
ですから、不安なときこそ、たった一言に飛びついてしまわず、その背景や文脈を読み取って、総合的に判断しようと冷静になりましょう。
5. 新聞の見出しにもご注意を
やや警戒心を隠さない表現をしますと、ネット上のニュース記事には何人の目に触れたかに伴って広告収入が入るシステムがあります。
従って、記事をたくさんの人に読んでもらおうという意図のある発信者は、受け取り手に敢えて誤解を与えるような見出しの書き方をして煽ります。
こうして多くの人に記事を読ませる手法が、ネット上では濫用されています。
一般紙でも、見出しだけ見ておかしな記事だな?と思っても、読んでみるとごく普通のことが無難な記事にまとめられていることもあります。
このようなネット上にあふれている健康や医療・薬の情報については、専門家や学会・研究会、厚生労働省などが公開している正しい情報から判断しましょう。
まよったり悩んだりしたときは、ぜひ薬局へご相談ください。お待ちしております。