中学生のみなさん、こんにちは。
薬剤師のなっちゃんです。
健康のこと、病気のことを紹介したいと思います。
今日のお題は、子宮頸がん(しきゅうけいがん)予防ワクチンです。
じゃあ、一緒に調べてみよう!
~この記事のもくじ~
1.「子宮頸がん予防ワクチンってなに??」
2.「がんを起こすウイルスがいるんだ!」
3.「子宮頸がん予防ワクチンの効果は高い!」
4.「日本では子宮頸がん予防ワクチンを受ける人が少ない!」
5.「保護者の方へ」
1.子宮頸がんってなぁに??
とりあえず検索してみましょうか。
医療のことで、確かな情報がほしいときは、「知りたい言葉」と「学会」という言葉を組み合わせると、信頼できる情報が見つかりやすいです。
学会とは、医療の様々な分野を科学的に研究する団体です。
学会は専門家だけでなく、一般の方向けにも情報を発信する役割があります。
では、「子宮頸がん」「ワクチン」「学会」などの言葉を組み合わせて検索してみましょう。
さてさて、検索結果はどうなったかな・・・?

中学生の方にはちょっと難しすぎてびっくりしちゃいますね。
こういうサイトにも、一般の人向けに書かれたページがあるんだよ。
たとえばこの一番上にある、日本産婦人科学会が一般の方に向けた
「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」というサイトをみてみましょう。
一緒に読んでみようか!
2.がんを起こすウイルスがいるんだ!
子宮頸がんの99%は、ウイルス感染が原因で、その原因となるのはHPVというウイルスなんです。
HPVには150くらい種類があって、そのなかに2種、発がん性のあるウイルスがあるとわかっています。
子宮頸がんのほとんどは、このHPV感染症が原因と言われています。
と思うよね・・・
HPVは、うつってから病気になるまでに、数年から数十年かかると言われ、10代20代で感染したことが原因で、30代から発症することもあるのです。
30代というと、ずっと先に思うかもしれませんが、仕事や結婚・出産・育児と人生いちばん充実している時期です。
がんの治療には体力と、時間と、お金がかかります。
人生いちばん充実させてほしい年齢に、がんになって治療に時間やお金がかかるのは大変ですよね。
3.子宮頸がん予防ワクチンの効果はとても高い!
子宮頸がん予防ワクチンの効果はどうなのでしょう。
オーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、HPVへ感染する人の数が減っています。
また、ワクチン接種世代と同じ世代でワクチンを接種していない人のHPV感染も低下しています。
受けられない人が病気にかかる確率も下がるんだね
これを、集団免疫効果といいます。
またフィンランドの報告によると、HPVに関連して発生する浸潤がんが、ワクチンを接種した人たちにおいては全く発生していないとされています。
ワクチンをみんなが打つことで、子宮頸がんになる人がいなくなるんだね

一方、日本では子宮頸がんにかかる人も、亡くなる人も、増えつつあります。
特に、50代未満の若い世代での患者が増えていて、問題になっています。
ではなぜ、日本にはワクチンがあるのに、病気にかかる人が増えているのでしょう?
4.日本では子宮頸がん予防ワクチンを受ける人がすごく少ない!
実は、日本でもワクチンが開発された2009年からしばらくは対象年齢の70%の人が接種していました。
2013年には国が「定期接種化」しました。
そして国はワクチン接種を「積極的勧奨」、ぜひ打ちましょうと薦めはじめました。
その理由として、2013年頃に、ワクチンの危険性の報道が過熱したことが挙げられます。
当時安全か危険かを確認するための情報が少なかったのですが、現在では安全性に大きな問題はないと研究結果が出ています。
それより、ワクチンで防げる病気で命を落とすことの方がずっと大きな問題だと再認識され、
そろそろまた「積極的勧奨」、国が打ちましょうと薦めませんかという動きが始まっています。
子宮頸がん予防ワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状が、約8割の方に生じるとされています。
注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されています。
この迷走神経反射自体は、しばらくすれば自然に回復するものなのですが、
失神したり冷や汗が出てしんどくなったりするので、
本人にはちょっと怖い経験として記憶にのこります。
で、その体験を見たり聞いたりすると、他のひとも不安になります。
そして、コワイ、痛いかも・・・と不安な気持ちで予防接種を受けると、
迷走神経反射は起こりやすくなります。
接種の前にコワイかもと先に伝えてください。
寝た姿勢で接種を受けたり、接種直後に30分程度安静にしておけば
迷走神経反射は起こりにくくなりますし
もし起きても問題なく回復します。
子宮頸がん予防ワクチンは、公費(市町村が負担してくれること)で、
小6から高1の女性のみなさんに無料で受けられる予防接種です。
この時期を逃してしまうと、自費(有料)で受けなければいけなくなります。
全部で3回接種します。自費だと1回2万円くらい、3回で5~6万円くらいと負担も大きくかかります。
ぜひ中学生のあいだに、まず1回目を接種して、3回とも公費での接種を済ませてくださいね。
わかってもらえたかな??
よかったら、下記リンクも参考にしてみてください。
中学生のみんなには、自分の身体のこと、自分で考えて決められるようになってほしいと思っています。
そのためには、お母さんやいろんな大人とも話をしてみてください。
薬剤師のなっちゃんから保護者の方へ向けたお話を
載せておきますので、読んでもらってくださいね。
保護者の方へ:あのときの中学生は・・・いま
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)を受ける世代の女性の保護者のみなさま。
ここまでにも述べてきましたが、子宮頸がんの原因のほぼ100%がHPVです。
HPVワクチンは、お子さんが将来子宮頸がんにかかるリスクを0に近づけることができます。
子宮頸がんは、20代30代の女性を苦しめ、妊娠・出産できなくなるリスクも抱えています。
40代を過ぎてからは生命を脅かす疾患です。
2013年、報道でワクチンの副反応を強調して伝えられた時期がありました。ご記憶の方も多いでしょう。
お子さんにワクチン接種を勧めるかどうか、悩んでいらっしゃる方もおいでかと思います。
当時、ワクチン接種によって「多様な症状」が現れると報道されました。
ワクチンは、他のあらゆる薬や手術法と同じで、確かに 完全・絶対・100%安全なものではありません。
実は、その後の詳しい調査で ワクチン接種したひとと していないひととで
「多様な症状」が起きる確率に差がないと結果が出ています。
しかし、そのことはあまりきちんと報道されませんし、「積極的勧奨」は中断されたままなのです。
これはとても大事です。
健康被害が出ているかもしれないときに、一旦これをやめてみよう、という判断は正しいものです。
その後、子宮頸がんを予防できるメリットとワクチンの安全性を総合的に判断し、医学系学会が、ワクチン接種を積極的勧奨するように求めています。
~ご参考:医学系専門学会の見解~
日本産婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」
日本小児科学会「子宮頸がん征圧を目指す専門家会議「子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)適正接種の促進に関する考え方」について」
予防接種推進専門協議会「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解」(PDF)
最近の報告によりますと、HPVワクチンと子宮頸がん検診が最も成功しているオーストラリアでは、2028年に新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるとのシミュレーションがなされました。
このシミュレーション通りに進めば、世界に先駆けてオーストラリアで子宮頸がんが撲滅されることになります。
世界全体でも、HPVワクチンと検診を適切に組み合わせることで、今世紀中の排除(症例数が人口10万あたり4人以下になることを言う)が可能であるとのシミュレーションがなされました。
日本で これからもHPVワクチンの接種が進まないままだと、子宮頸がんの予防で世界の流れから大きく取り残されてしまいます。
当時、接種年齢にあった女性たちが現在20歳を過ぎ、当事者として自分たちの意見を述べています。
ここまでのブログ記事とともに、ぜひ下記リンク先の記事も併せてお読みになり、お子さんの健康についてじっくりご検討ください。
2021年3月4日文春オンライン:「あのとき「子宮頸がんワクチン」を打たせてもらえなかった少女たちはいま」
お子さんの身体を心配して、いろいろ調べれば調べるほど、様々な疑問が出てこられると思います。
そんなときは、お気軽に薬局へご相談ください。いつでもおまちしております。