甲状腺機能障害は女性に多い疾患です。
甲状腺機能障害の症状は、更年期の症状と似ているので見分けることが重要です。
目次
甲状腺の機能ってなんだろう?
甲状腺ホルモンは首の喉仏の下にある小さな臓器である甲状腺で作られます。
甲状腺の機能をみる代表的な血液検査の数値が3つあります。
ひとつはサイロキシン(T4)、
ふたつめはこのT4が分解されてできるトリヨードサイロニン(T3)。
この二つが甲状腺ホルモンと呼ばれます。
それから、甲状腺ホルモンを作って放出するよう、甲状腺に司令をだす下垂体から放出される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。
T3、T4 が不足すると、脳の司令塔である下垂体から TSHがたくさん放出され、
逆に T3、T4が過剰になると、TSH の分泌は少なくなることによって、
身体が常に一定の状態になるようバランスを保って(恒常性を維持して)います。
このように、甲状腺の機能を知るには、甲状腺と下垂体、2つの器官に注目します。
甲状腺からは主にT4 が放出されたあと、他の臓器でT3 に変換されます。
身体の中で作用を示すのはT3 です。
T3は脈拍、体温、自律神経を調節してエネルギー代謝の恒常を保っています。
どの機能も身体にとってなくてはならないものです。
したがって、甲状腺ホルモンが多すぎると新陳代謝がオーバーワークになり、反対に少なすぎるとエネルギー不足になります。
これが、甲状腺機能障害です。
甲状腺機能障害で見られる主な症状
- 甲状腺ホルモンが過剰なとき;ドキドキする・暑がり・汗が多い・イライラ・軟便・ 体重減少
- 甲状腺ホルモン不足のとき;脈遅い・寒がり・皮膚カサカサ・眠い・記憶力低下・ 体重増加
- 共通の症状;だるさ・月経異常・抜け毛など。
こういった自覚症状や、首の喉仏の下が腫れていることに自分や家族が気づいてくれて、治療につながるようです。
のどのあたりの腫れは人によって程度は様々です。
気になる方は、お医者さんで甲状腺ホルモンの検査を受けてください。
甲状腺機能障害の治療は、甲状腺ホルモンを補うお薬、あるいは甲状腺ホルモンの生成を抑えるお薬を使います。
参考:一般社団法人 日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」
一般社団法人 日本内分泌学会「バセドウ病」
こんどは、更年期についても知りたい!
甲状腺機能障害とよく似た症状を示す更年期についてご紹介します。
更年期とは、卵巣機能の低下により、卵巣から放出されるエストロゲン(女性ホルモン) が急激に減少する閉経前後の約5年間をさします。
本来なら、エストロゲンが少ないとき、
- 脳視床下部より性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
- 脳下垂体に作用して性腺刺激ホルモン(FSH/LH)
- 卵巣に作用してエストロゲンが分泌促進される
というサイクルで、エストロゲンの量はうまく調節されています。
ところが、卵巣機能低下で上層部の指令がいくら頑張ってもエストロゲンが増えない状態になります。
これ繰り返すうちに、ホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れ、更年期障害の症状があらわれます。
更年期障害で見られる主な症状
- 血管運動神経症状;ホットフラッシュ・手足の冷え・動悸
- 精神神経症状;頭痛・倦怠感・不眠・不安・憂うつ・記憶障害
- 知覚症状;手足のしびれ
- 運動器官への症状;易疲労感・肩こり・腰痛
まずは、規則正しい食事と睡眠を心掛け、生活リズムを整えてください。
そのうえでお医者さんに相談しましょう。
ホルモン補充療法や漢方薬治療などが選択肢に上がります。
もしかしたら・・・甲状腺機能障害かもしれない??
このように、更年期障害と思って我慢されている方の中には、もしかして甲状腺機能障害が潜んでいるかもしれません。
よく似た症状がありますものね。
豆知識を知っていると、案外役に立つかもしれませんよ。