高齢化が進む昨今、骨粗鬆症の患者さまは増加しています。
テレビの CM でもサプリメントがたくさん紹介されていますよね。
では、骨粗鬆症とどのようにつきあいながら、骨の健康を考えればよいのでしょうか。
目次
1 そもそも骨粗鬆症ってどういう状態?
2 骨折リスクは骨密度だけに注目すればいいわけではありません
3 骨折を予防するために大切なこと
1,食事でとりたい、6つの栄養素!
2,運動で骨を丈夫に&転ばない筋力をつけよう
3,日光浴が骨にいい!
4 さいごに
1 そもそも骨粗鬆症ってどういう状態?
骨粗鬆症は骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなっている状態をいいます。
特に女性は、閉経後、ホルモンの関係で若い時より骨がもろくなりやすいことが知られています。

体重による圧迫骨折などで、知らないうちに骨折が生じている状態を、脆弱性骨折といいます
- 脆弱性骨折がある:骨密度がYAMに比べて80%未満であれば、骨粗鬆症と診断されます。
「ヤム YoungAdultMean(若年成人平均値)健康成人20~44歳の骨密度を100%としたもの」 - 脆弱性骨折がない:YAM の70%未満で骨粗鬆症と診断されます。
なお治療の開始には、上記以外に、骨折リスク評価ツールである FRAX での基準も判断材料になります。
ところで、薬局でも骨密度が測れるってご存じでしたか?!
薬局でもできる骨密度検査、詳しく知りたい方はこちらの記事もオススメです↓↓↓
2 骨折リスクは骨密度だけに注目すればいいわけではありません
骨の強度は骨密度と骨質の2つの要因があります。
骨折リスクを上げる要因として、骨密度の他にも、次のようなものがあります。
- 既存骨折
- 喫煙
- 飲酒
- ステロイド薬服用
- 骨折家族歴
- 運動不足
- 生活習慣病
このように、骨を脆弱にしてしまう因子はさまざまですので、骨折の危険性を総合的に判断して、予防や治療を行う必要があります。
3 骨折を予防するために大切なこと
65歳以上の高齢者が介護が必要になった原因のうち、13%が骨折・転倒で、全体の4番目になっています。
出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書」
ですので、骨粗鬆症と診断されたら、骨折しやすい状態になっているため、早期に治療を始めることが大切です。
治療に平行して、食事・運動・生活習慣の改善が必要です。
骨粗鬆症と診断されていない方や同居のご家族にとっても、生活習慣の改善は予防につながります。
1,食事でとりたい、6つの栄養素!
- カルシウムは1日600mg~700mg(成人)必要です。
効率的にとるには、 牛乳や乳製品が最適です。 牛乳にはカルシウムの吸収を促進させる成分が含まれるので、吸収率が良いのです。 - 更にビタミンDをいっしょに摂ると、小腸からカルシウムが吸収されやすくなります。
ビタミンDを多く含む食品としては、サケ・ウナギ・サンマ・サバ・ブリなどの魚料理やきくらげ・干し椎茸・しめじなどのきのこ類です。 - ビタミンKは骨のなかにあるオステオカルシンというタンパク質を活性化し、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑える働きがあります。
納豆・緑黄色野菜に多く含まれます。 - たんぱく質、とくに骨の成分であるコラーゲンが重要です。
コラーゲンは、鶏肉の手羽先や皮・豚足・レバー・牛すじに多く含まれています。 - ビタミンCは、骨の土台となるコラーゲンをつくるのに不可欠です。
- マグネシウムは、骨をつくる骨芽細胞に働きかけて、骨や歯にカルシウムがいきわたるように調整します。
ひじきなど海藻類・玄米や雑穀・そば・大豆製品・アーモンドなど種実類に含まれています。
逆にカルシウムの吸収率を下げる要因としては、加工品、嗜好品に含まれている過度な塩分・糖分・リンがあります。
ですので、加工品・嗜好品はほどほどに。
食品添加物として含まれるリン酸塩はカルシウムをからだの外に排泄してしまいます。
インスタント食品やスナック菓子、清涼飲料水のとりすぎに注意してください。
またカフェイン・お酒も適量に。
2,運動で骨を丈夫に&転ばない筋力をつけよう
骨は、重力の負荷をかけると強くなる性質があります。
ひざなどに問題がない方は、階段ののぼりおりや、エアロビクスなど、重力の負荷をかける運動が骨を丈夫にするためには効果的です。
ウォーキングなど耐久運動や筋肉増強運動を続けることで、骨密度の維持、上昇がみとめられています。
ひざなどの疾患で、階段運動などが難しい方は、片足立ちを取り入れてみましょう。
ひざにおおきな負担をかけずに重力負荷をかけることができます。
また、筋肉とバランス能力が維持・向上できることによって、転びにくい体を作り、転倒による骨折を回避することにつながります。
3,日光浴が骨にいい!
ビタミンDは皮膚で、日光が当たることによって作られます。日光浴をするようにしましょう。
この皮膚で作られるビタミンDと食物由来の小腸から吸収されるビタミンDが、いっしょに、あなたの体のカルシウム吸収に役立ちます。
ストレス・睡眠不足・タバコ・飲酒をできるだけ避ける生活を心がけましょう。
4 さいごに
高齢者が骨折しやすい部位には、

- 大腿骨近位部(ふともものつけ根):からだの全体重を支えて歩くのにとても重要。特に骨盤とつながる骨頭部がだいじ。
- 脊椎(背骨小さい骨のひとつひとつ):背骨を構成し、神経を守り上半身の体重を支える。ひとつひとつ繊細なかたちで、もろいと欠けやすい。
- 上腕骨近位部(腕のつけ根):肩とつながる腕の骨。折れると生活に支障が大きい。
- 橈骨遠位端(手首の骨):転倒して手をついたときに折れやすい。
があります。
このうち、大腿骨近位部や脊椎に骨折がおきると、その後の生活の質が維持できなくなります。
骨は一日にして成るものではありません。この記事をご参考に、日ごろから骨の健康を維持する習慣をとりいれてくださいね。