今日は厚生労働省が推し進める「かかりつけ医・かかりつけ薬剤師」制度のうち、「かかりつけ薬剤師制度」を使ったらどんなメリットがあるのかを、研究報告や内閣府の調査からわかりやすくお話したいと思います。
1.今年6月から変わったらしい?
ここ最近、薬局のカウンターや病院の待合室に「令和6年6月から診療報酬(調剤報酬)改定により窓口の負担がかわります」という貼り紙をよく見ると思います。
これは2年に1回、厚生労働省で定める健康保険を使った医療や調剤のサービスの内容や点数の改定があったときに貼られる案内です。
この診療報酬や調剤報酬は健康保険法でのルールで、「どういう医療や調剤のサービスをどういう状況でどうやったら、〇〇点ですよ」という内容が事細かく変更されるのです。
そして変更の内容は、「厚生労働省が国の医療の制度をどのように変更していきたいのか」という方針が反映されるので、新しい治療が保険適応になったり、同じ業務をやっていても簡単なことがわかったら、点数が下がったり、逆に時間がかかることがわかって点数が上がったりと、複雑に変わります。
そして、今年の6月からの改定では、病院では「かかりつけ医」、薬局では「かかりつけ薬剤師」をもっと普及させたいという厚生労働省の考えから、病院や薬局でかかりつけ医、かかりつけ薬剤師となる患者さんの登録を進めるような内容の報酬改定になりました。
2.かかりつけ医・かかりつけ薬剤師を利用している人はどのくらい?
日本医師会による発表では、全国満20歳以上の男⼥を対象とし個別⾯接聴取法で令和2年7⽉に実施した調査では、有効回収数︓1,212名のうち「かかりつけ医を決めている」のは55.2%と報告されています。(「第7回⽇本の医療に関する意識調査」について令和2年10⽉7⽇公益社団法⼈ ⽇本医師会)
また、内閣府が令和2年10月に行った、全国18歳以上の3000名に郵送法で調査したところ、1994名の回答があり、そのうち「かかりつけ薬剤師・薬局」を決めているのは7.6%、薬局は一つに決めているがかかりつけ薬剤師は決めていない」のは18.4%との報告があります。(令和3年「薬局の利用に関する世論調査」の概要/内閣府広報室より)
ですから、「かかりつけ医は聞いたことあるけど、かかりつけ薬剤師は聞いたことがない」という方も多いのではないでしょうか?
この「かかりつけ薬剤師」制度は、2016年4月からスタートした制度で、すでに8年が経過していますが、それほど認知されていない制度なんです。
でも、今年の6月から厚生労働省の方から、「かかりつけ薬剤師制度は患者さんにとって有益なので、率先してこのかかりつけ薬剤師の制度を広めてください!」というお達しがでたので、当薬局でも窓口でお声をかけさせていただいております。
3.かかりつけ薬剤師に登録したらどうなるの?
「でも、かかりつけ薬剤師に登録したらどんないいことがあるの?」と疑問がわきますよね。
なので、今回は2016年の制度開始後に発表された「かかりつけ薬剤師に関する研究」の論文から、かかりつけ薬剤師がどのように患者の皆様にメリットがあるのかをお話させていただきますね。
a) かかりつけ薬剤師を利用している患者さんってどんな人?
2017年に行われた岐阜県の薬局での調査では、かかりつけ薬剤師が対応した患者さんは7.4%で、そのうち患者さんの年齢層は0歳代(小児科の親世代)が14.0%で1位、80歳以上が11.9%で2位でした。また、薬局を選ぶ基準として「信頼できる薬剤師がいる」こととしている患者さんの割合が、かかりつけ薬剤師を利用している群が利用していない群よりも髙かったことが明らかになっています。
また、薬剤師に対して「健康相談全般」「生活指導(栄養管理含む)」「セカンドオピニオン」を重心する患者の割合がかかりつけ薬剤師を利用している群で高かったことが明らかにされています。
(「かかりつけ薬剤師の指名している患者の行動分析及び意識調査」国府田真綾、他:医療薬学 44(8) 395-402 (2018))
b) かかりつけ薬剤師を利用するかどうかの決め手は何?
薬局が「かかりつけ薬剤師」のサービスを患者さんに提供するには、患者さんの「同意」を得る必要があります。
そこで、かかりつけ薬剤師に同意するには「かかりつけ薬剤師」サービスに含まれるどのようなサービスが影響しているのかを明らかにする調査が2020年2月にインターネット調査が行われました。
対象は20~79歳とし、かかりつけ薬剤師の業務内容20項目について、「かかりつけ薬剤師に求めている業務」かどうかを回答してもらったところ、1200名の患者の回答が集まりました。
結果の分析から、「かかりつけ薬剤師を利用している患者」の群は、「かかりつけ薬剤師を利用していない群」に比べ、20項目中19項目において「かかりつけ薬剤師に求める期待率」高かったことが明らかになりました。そのうち、特に大きな差があったのは「受診している全ての病院、診療所の把握(10.5%)」で、次いで@「お薬手帳への薬の飲み方等の記載(10.2%)」でした。
「健康に関する相談対応(9.0%)」「自宅訪問による薬の説明や管理(8.7%)」でも比較的大きな差が見られました。
また、「かかりつけ薬剤師利用の同意」については、「薬局がしまっている時間帯での相談対応」「地域の病院、診療所や介護施設の紹介」「自宅訪問による薬の説明や管理」「飲み忘れ等による余ってしまった薬の整理」が要因となっていることが明らかになりました。
(かかりつけ薬剤師指導算定同意に影響をおよぼす薬剤師のサービス:堀井徳光、他:医薬品情報学、23(1):9-16(2021)」
c) かかりつけ薬剤師のサービス、使ってよかったポイント
さて、2020年10月にも同じような調査が内閣府の調査として行われました。
これはかかりつけ薬剤師のサービスだけでなく、厚生労働省が本格的に推し進めたい薬局のサービスの内容についての世論調査で、その中にかかりつけ薬剤師の項目が入っています。
そのうち、「かかりつけ薬剤師を決めてよかったこと」についての質問では以下のような結果がでています。
「飲み合わせの確認」や「生活状況など全般的な相談」が上がっています。

また、かかりつけ薬剤師を決めていてよかったこととして、薬の飲み合わせの確認やサプリ、食事などの影響などがあがっています。
これは「かかりつけ薬剤師を決めていたことよって得られた結果」なので、実際に薬剤師が飲み合わせを確認したことで重複や相互作用などが回避できた経験に基づく意見なのかなと思います。

逆に、かかりつけ薬剤師を決めていない理由についても回答を得ていますが、おおむね「利点がわからない」や「信頼できる薬剤師がみつからない」とのことでした。

当薬局もこれから厚生労働省の指導もあり、かかりつけ薬剤師のサービスをもっと多くのお客様、患者様にご利用いただけるよう、スタッフのスキルアップのための研修の充実や、ミーティングなどを積極的に行って、「かかりつけ薬剤師」を当薬局で見つけていただけるよう尽力したいと思います。
また、もっと気軽に「かかりつけ薬剤師サービス」をご利用していただけるよう、当社ではかかりつけ薬局アプリ「Kakari」をご利用いただけるようにしています。



先日、厚生労働省から認定を受けたお薬手帳機能と処方せん送信機能がついた「薬局と繋がるアプリ」です。
このアプリを通じて気軽にご相談や問い合わせもしていただけます。
アプリをダウンロードしましたら、以下の薬局コードを入力していただきますと、登録ができます。
薬局コード一覧 本店【18063】 左京店【18066】 中町店【18065】
登録ができましたら、薬局カウンターにて「かかりつけ薬剤師サービス利用の希望」をお伝えください。
サービスの説明と同意書をご用意いたします。
これからも、地域密着の問題解決型薬局として、皆様のお薬のお悩み、不安を解消できるよう努力してまいります。