お知らせ 在宅介護

薬剤師による在宅訪問日記~痛み緩和と副作用のバランスをとる~

なかなか治らない痛みを抱えている方は、痛み止めとの付き合い方について、迷うことがなんどもあると思います。
そのようなときにご相談いただきたいのが、お薬の選択肢についてよく知っている、薬剤師です。

以前、私が在宅訪問をしていたご高齢の方との関わりの様子を、介護保険を紹介する冊子に掲載してもらったことがあります。

今日は、そこからの抜粋をご紹介したいと思います。

股関節脱臼をして、いつも片足を引きずりながら歩いているNさん。
「足が痛い、痛い」といって杖を突きながら壁に捕まって家の中を歩いています。
外出は車椅子。

神戸の方の病院で4月まで入院していたが退院してこられました。
退院してきたとき、痛み止めとして Rp)ボルタレンサポ 25mg をつかっていました。

在宅をスタートさせた時も勿論ボルタレンサポ25mgを使っていました。
しかし、1日2回の量で持っていっても「痛み止めがなくなった。」と電話で呼び出される始末。

Drに連絡して臨時で何回か持っていくこともありました。
数を数えると1日3回くらい使っているペースです。

Nさんによくよく話をすると、痛みが我慢できずに1日3回くらい使う事が多いとの事。
「前の病院では50と書いていた大きなやつも使っていた」。

体重は40kgくらい。確かにボルタレンサポ50mgは多いし、25mgでも1日に3回も使うのは多すぎます。
胃の方も丈夫ではないので心配でした。
そのことをNさんに伝えて、「使いすぎは体に良くないから1日2回に減らせませんか?」というと、ショッキングな答えが返ってきました。

「今まで使ってきて何ともないのだから大丈夫
 それに少々体に悪くても痛みが止まるならそれでいい
 痛み止めを使いすぎて体を壊したら寿命もそれまでだろうから、それでいい。」
というのです。

落ち着いて考えてみれば「QOLというのはこういう事なのか。」と思えるのですが、普段、常用量をみながら処方監査している頭では到底思い付く事のない発想でした。

年齢によってこうも「生きる」事への考えが違うものかとつくづく考えさせられました。
「現在」の一時一時を重要視するか、「未来」への影響を重要視するか。
まだまだ、私達は体を患っている高齢者の気持ちが分かっていないようです。

今回は患者の意向をDrに説明し、「痛みを取る事」を最優先として処方を考える事となって、ボルタレンサポ25mg→レペタン0.2mgへ変更しました。
習慣性の心配もあるが、副作用を少なく常用量の範囲内で鎮痛効果をあげる目的での判断です。

在宅医療・在宅介護と薬剤師―介護保険制度への薬剤師のかかわりを中心に
七海 朗, 七海 陽子他 | 1999/7/10

在宅療養を受けるときに、「痛みの緩和」というのはとても重要です。
いくら副作用がある、飲み合わせが悪いといっても、痛みが続けば行動範囲もせまくなり、できていたことができなくなる。
それは、ご本人にはとても辛いことです。

大事なのは、バランスをとること、つまり副作用により他の健康被害が出ないように観察をしながら、痛みをしっかりコントロールする方法を見つけることだと思います。

この日記を見て、「家族が痛み止めばかり飲んで心配」「胃が痛いけど痛みを改善したいから薬がやめられない」という方がおられたら、ぜひ薬剤師に相談してください。
いろんな薬を試したり、のみかたをかえたりして、うまくバランスがとれる方法を一緒に考えていきましょう。

薬局セブンファーマシーでは、在宅療養で胃瘻を使っている方にお薬を飲む方法を提案しています。ぜひこちらの記事もお読みください。

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